●導入
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 日本は世界的に見ても「健康長寿」の国として注目を集めています。日本の健康長寿の秘訣である食生活に注目して、その特徴をご紹介します。

●日本の平均寿命

 日本人の平均寿命は、男性で81.09歳、女性で87.26歳となっており、世界的に見ても非常に長寿であることがわかります(※1)。中国の平均寿命と比較すると、日本人のほうが男女ともに約7~8歳長生きする計算になります。

 
●「和食」の特徴

 そんな健康長寿の国・日本では、伝統的な食文化として「和食」が食べられています。和食は、2013年にユネスコ無形文化遺産にも登録されました。和食の特徴としては、次のような特徴が挙げられます。

1. 一汁三菜を基本としたバランスの取れた食事
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主食・汁物・主菜・副菜(2品)が基本とされ、炭水化物・タンパク質・脂質のバランスがよく、野菜や海藻、きのこ類を豊富に摂れる食事が伝統的です。調理方法は焼く・煮る・蒸すといった油の少ない方法が多く、エネルギー・脂質の摂取量が抑えられます。

2. 「だし」を使った旨味の強い食事
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 かつお・煮干し・昆布・干し椎茸などから取った「だし」を使うことで、旨味成分であ

3. 四季にあわせた旬の食材を使用した食事
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  日本には四季があり、春・夏・秋・冬によって採れる食材が異なります。旬の食材は栄養価が高く、季節も味わえるため食事の楽しみを生み出します。

●「和食」に使われる代表的な食品と栄養素

 和食によく使用される食材として、次の7つの食材が挙げられます。

       豆類・ごま・海藻類・野菜・魚・きのこ類・いも類

 植物性食品と魚介類が中心で、ビタミン・ミネラル類、食物繊維が多く、動物性脂質は魚由来の良質なものが摂れる食材となっています。
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 特に豆類はタンパク質の豊富な大豆を主としており、加工品の種類も多く、日常的に多く食べられています。日本に特有の豆製品としては、豆腐・厚揚げ・油揚げをはじめ、発酵食品である納豆、調味料では、同じく発酵食品でもある醤油、味噌があります。

 発酵食品でいうと、ぬか漬けや粕漬け、べったら漬けなど、野菜や魚を漬けたものも伝統的な食品として食べられています。発酵食品に含まれる乳酸菌により腸内環境が整えられ、腸内の健康を保つほか、免疫力の向上にも寄与します。

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さらに、発酵させることで食材がもともと含むビタミン類を増やす効果もあります。例えB2が約7倍、ビタミンB6が約2.4倍、ナイアシンが約2.8倍、ビオチンが約2倍、葉酸が約3倍、パントテン酸が約13.8倍と、多くのビタミンが増加しています。

このように、和食で使用頻度の高い食材の栄養素の質・バランスの良さと、種類豊富な発酵商品による腸内の健康維持・増進、および食材の栄養価の向上などによって、日本人の健康が保たれているのです。

●まとめ
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 世界的な健康長寿国として有名な日本。日本の伝統食である「和食」の健康長寿につながる特徴についてご紹介しました。ただし、和食ではカルシウム不足・塩分過剰になりやすいというデメリットもあります。毎日の食事に乳製品をプラスする、だしの旨味を生かして減塩するなど、デメリットをカバーする工夫をすると、よりバランスの良い食事になるでしょう。日々の食生活に和食の良さを取り入れながら、健康長寿を目指してみてはいかがでしょうか。


<参考>

1) 厚生労働省 平成29年簡易生命表の概要

 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life17/dl/life17-15.pdf

・健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-shokuji/kenkou-tyuju-syoku.html(参照:2019.4.24)