●日本の伝統食品である「梅干し」
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 梅は毎年2~4月になると花を咲かせ、桜とともにお花見の定番となっています。花の後につける梅の実は、古くから食用とされています。梅の実を生で食することはほとんどなく、主に塩漬けや砂糖漬け、酒漬けにされます。その中でも特に日本の食生活に欠かせないのが、「梅干し」です。梅の実を塩漬けにしたもので、赤しそや鰹節、はちみつなどを一緒に漬けることもあります。白いご飯のお供やおにぎりの具材として、和食では現在までよく食べられてきました。今回は、そんな梅干しのもつ栄養と効果についてご紹介します。

●梅干しに含まれる栄養素
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 梅は酸味が強い食品で、その酸味のもととなるのが有機酸です。梅に含まれる代表的な有機酸として、「クエン酸」があります。梅・梅干しには脂溶性ビタミンであるビタミンEや様々なミネラルが含まれていますが、今回は特にクエン酸に注目して、その詳しい効果をみていきましょう。

●梅干しに含まれる栄養素がもつ効果
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 梅干しは、豊富に含まれるクエン酸を中心とした様々な栄養素により、多くの健康効果が期待できます。主な効果は、次のとおりです。

◎疲労回復効果 
クエン酸には、疲労の原因となる乳酸の生成を抑制する働きがあります。またエネルギー代謝を促進することで、疲れにくくなります。さらに、梅干しに豊富に含まれる「バニリン」という成分による脂肪燃焼作用もあり、ダイエット中にもおすすめです。

◎食欲増進効果
 梅干しの酸味には食欲増進効果があり、夏バテなど食欲のないときにもおすすめです。さらに、食べた糖質をエネルギーに変換しやすくするため、夏バテの回復・予防につながります。

◎カルシウムの吸収促進作用
 クエン酸にはカルシウムの吸収を促進する作用もあります。カルシウムは日本人に唯一不足している栄養素ともいわれており、乳製品や小魚などカルシウムを豊富に含む食品と一緒に摂ると効果的です。カルシウムを特に必要とする成長期の子供や高齢者、妊産婦にもおすすめです。

◎虫歯予防
 クエン酸がミュータンス菌の活動を抑制するといわれています。潰した梅干しをいれたお湯やお茶を飲むだけでも、効果が期待できます。

この他にも、梅干しに含まれるビタミンEや梅リグナンによる抗酸化作用や、糖尿病予防・動脈硬化の抑制など、生活習慣病に対する効果も期待できます。
ただし、梅干しにはナトリウムが多く、食べ過ぎると食塩摂取量が過剰になってしまいます。1日に食べる量は1~2個を目安とし、毎日少しずつ食べるとよいでしょう。

●まとめ
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 日本の伝統食品である「梅干し」がもつ栄養と効果についてご紹介しました。梅干しにはクエン酸をはじめ様々な栄養素が豊富に含まれており、疲労回復や生活習慣病予防など、私たちの身体に嬉しい効果が期待できます。ただし塩分の多い食品でもあるため、摂取量に気をつけながら、日々の食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?


<参考>
・日本食品標準成分表2015年版(七訂)
・紀州梅効能研究会 http://www.umekounou.com/effect/(参照2019.5.8)